【owners】スマホの最適な "F値" 設定は?
- kaidohonoda
- 8月24日
- 読了時間: 5分
以前、『"ミラーレス一眼カメラ" vs "iPhoneカメラ" 人物の動画撮影にはどっちがいい?』という記事を書きました。そこから派生し今回は、スマホで撮影した際の、F値の設定について深ぼってみようと思います。

今はiPhone15Proをメイン機として撮影していますが、シネマティックモードで撮影した映像は、撮影後にF値(≒ぼかし具合、だと思ってください)を調整できます。さすがデジタル。
では、シーンによって、このF値はどの値が適切か?を、様々なシーンでみてみます。スマホの映像だけではなく、参考までにミラーレス一眼カメラと比較した時に、どれくらい違うものなのか?も一緒に見ていきます。
ちょっとマニアックな記事になると思います。かつ、スマホの小さい画面ではあまり違いがわからないかもしれませんので、正確に違いをみたい方は、高画質、かつPCの大きな画面で確認することをお勧めます。
■ デバイス
・スマホ:iPhone15 Pro
・一眼カメラ:LUMIX S5IIX フルサイズミラーレス一眼
※ 撮影の設定はいずれも「4K / 30fps」
スマホで撮影したF値を、今回は「F2.8」「F5.6」「F8.0」「F11.0」の4つで比較していきます。
映像比較 ~人物編~
まずは、人物映像での比較をします。屋外での撮影で、ちょうど風があったので、「髪の毛」に注目して見てみると、違いがわかりやすいと思います。
■ スマホカメラで撮影(F2.8)
■ スマホカメラで撮影(F5.6)
■ スマホカメラで撮影(F8.0)
■ スマホカメラで撮影(F11.0)
■ 参考:一眼カメラで撮影(F5.6)
どうでしょう?焦点距離に応じてボケる一眼カメラと違い、デジタルの場合はボケ補正を後からかけるため、メインの物体を認識し、そこから外れた部分にボケを被せる仕様です。
風も吹いていたので、「髪の毛」がわかりやすく、そこに注目して見てみます。まず、F2.8は相当きついですね...。背景をぼかして撮影対象を強調したい、というニュアンスを飛び越えて、ボケがわざとらしすぎる感じがあります。F5.6も多少柔らかくなりますが、それでもデジタルボケ感がきついです。
F8.0が個人的にはすきでした。ボケ感もここまで薄まると気にならず見れますし、背景のボケ感も残っています。風が吹いて、散らばった髪の毛が目立つので、今回のような場合はF11.0が好みの方も多いと思います。
髪の毛(=輪郭部分)にまとまりがあれば、背景のボケ感を重視して、適正値がF8.0側に寄っていくと思いますし、または、室内などで背景と人物の距離が近い場合は、F5.6などもキレイにうつると思います。
映像比較 ~近距離編~
続いて、お花を撮影してみました。これはヒガンバナ科のハマユウというお花です。海辺などの砂地に自生し、夏に咲きます。まさに海の花!ピンク色の細い糸のような部分は雄しべです。今回はここに注目して見てみてます。
■ スマホカメラで撮影(F2.8)
■ スマホカメラで撮影(F5.6)
■ スマホカメラで撮影(F8.0)
■ スマホカメラで撮影(F11.0)
■ 参考:一眼カメラで撮影(F2.8)
これも、F2.8は手前にでている雄しべも、奥にある雄しべも見境なくボケていて、あまりキレイではありません。撮影するものにまとまりがあれば、F5.6~F8.0などでもキレイに撮れるかもしれませんが、今回に関しては雄しべ含めてお花がキレイに撮影できているF11.0が良さそうです。
ただ... 圧倒的!!にLUMIXがキレイですね。近距離については、一眼カメラとスマホの違いが明確に見て取れます。
映像比較 ~中距離編~
次は中距離。稲村ヶ崎の標石を撮影してみます。髪の毛や雄しべなどの散らばりは無いため、標石の輪郭部分に注目してみてみましょう。
■ スマホカメラで撮影(F2.8)
■ スマホカメラで撮影(F5.6)
■ スマホカメラで撮影(F8.0)
■ スマホカメラで撮影(F11.0)
■ 参考:一眼カメラで撮影(F2.8)
いままでに比べ、F2.8やF5.6でもキレイに写っていそうです。モニュメントが標石なので輪郭がはっきりしているからですね。ただ、輪郭に多少のボケがかかって見えます。
F11.0でもいいですが、ここまでF値を上げると、背景のボケ感はほぼなくなりますね。少しボケ感を保ち映したいものを強調しようと思うと、今回はF8.0がよさそうです。標石の輪郭にボケが乗らなくなるちょうどいいF値が適切だと思います(F5.6~F8.0の間でもいいかもしれません)
こう見ても、さすがLUMIXが圧倒的ですね。
映像比較 ~遠距離編~
最後に、風景全体として、稲村ヶ崎の海を撮影してみました。
■ スマホカメラで撮影(F2.8)
■ スマホカメラで撮影(F5.6)
■ スマホカメラで撮影(F8.0)
■ スマホカメラで撮影(F11.0)
■ 参考:一眼カメラで撮影(F2.8)
これは.... F値の設定で映像は、ほぼ変わらないです!
そもそもですが、風景全体を撮影する場合はシネマティックモードにする必要がありません。シネマティックモードは「後ろをボカすことで、手前の人物やモノを強調する」を前提としたモードになるため、風景全体を撮影する場合は、通常の動画モードで撮影すると全体にピントも合って、キレイに撮影できると思います。
まとめ
僕自身、ずっとF2.8で制作してきたのですが、LUMIXで撮影するようになってから、自然なボケ感というものを実感し、この調整をしてみようと思いました。並べて見てみると、結構違うものですね。
今回の4パターンであれば、平均的にF8.0が良さそうでした!シネマティックモードの初期設定 F2.8は、いずれのパターンも「やりすぎ」な印象を受けますね。
撮影する対象や環境、背景次第で、iPhone のシネマティックモードで撮影したF値は適正値が変わってきます。F11.0くらいになってくると、背景がボケなくもなってきますので、輪郭に注目しつつ、F5.6~F8.0あたりに調整してみると、背景のボケ感も残しつつ、より対象を強調した映像を残せるかもしれません!色々と試してみてください!
KAIDOH’S FILM
2025.08.23